福神祭ふくじんさい

 旧正月元旦の午前1時からは毎年多くの人々が参列して賑々しく福神祭が斎行されます。
 この福神祭は、出雲大社・出雲大社教の祭典としてお仕えされますが、旧正月の年初めを迎えるにあたり、古くより「福の神」とも称えられます大国主大神の懐深く、神楽殿大広間におもりして、旧正月元旦を大神の御前で迎え、新年の清新なる年霊としだまを頂戴しての御蔭を祈ります。
福神祭(ふくじんさい)
 旧暦大晦日の夕刻からは、全国各地からの参拝者による神楽殿内への参集が始まり、福縁の願い事をお取り次ぎする神楽祈祷が次々と奉仕されます。祭典前には、神楽殿大広間は立錐の余地もないほどの参拝者で溢れかえります。
 そして、福神祭が終わるや否な、参列者たちが神楽殿内に張り巡らされた注連縄の紙垂しでを競って取り合う恒例の“紙垂取り”が始まり、紙垂は瞬く間に取り納められます(写真右)。
 この紙垂は竹の先に付けて田畑に立てると
  第七十八代出雲國造千家尊孫筆による「永職館(えいしょくかん)」額
五穀豊穣が、また神棚におまつりすると家内安全・除災招福など、諸々の「福縁」の御蔭を授かるというのが古くからの信仰となっています。
 福神祭の後には、抽籤によって大国主大神の純金御像をはじめ、純銀御像、銅御像、大御木像、福俵などが授与される恒例の「福授け抽籤ちゅうせん」が行なわれます。当籤番号が発表されるたび、神楽殿内は大きな歓喜と深い嘆息が入り混じる中、当籤された方には参列者より喜びを分かち合う拍手が捧げられ、いつもながらの悲喜交々の福授け抽籤となります。
 また、福神祭にお参りできない全国の教会講社の教信徒ために福徳会ふくとくかい があります。福神祭と同じ趣意ですが、別途、全国の教会講社の教信徒を対象にしたもので、特等当選者には福神祭と同じく「純金御像」が授与されます。

はじまりの“

 日本人は古くより、十干と十二支からなる六十通りの組み合わせによって年や月日を数え、暦としてきました。中でも「甲子きのえね」はその始まりであり、殊に「=ネズミ」は大国主大神とご縁深い十二支です。
 こうしたことから出雲大社では、この万物のはじまりに清新な〝蘇り〟を祈る甲子の信仰が古くよりあります。江戸時代には御師おしの布教よって「甲子講きのえねこう」と呼ばれる信仰集団が結ばれ、現在でも甲子の日には出雲大社御本殿にて「甲子祭きのえねさい」がお仕えされています。
 このような歴史の中、明治45年の「壬子みずのえね」の年、旧正月元旦が奇しくも「甲子」の日となり、そのはじまりとなる“こく(午前1時)”に「甲子臨時大祭」としてお仕えされたのが福神祭の始まりです。

 

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