旧暦元旦に福徳の御蔭を祈り
福 神 祭 斎 行

旧正月元旦となる1月28日の午前1時より、神楽殿にて福神祭が賑々しく斎行されました。
 この祭典は、旧正月の年初めを迎えるにあたり、古くより「福の神」と称えられる大国主大神様の御懐深く、神楽殿内に参集しての〝お籠もり〟にて新年の清新なる御霊力である年霊=トシダマをいただき、福徳の御蔭を祈ります。
旧暦大晦日となる1月27日の夕刻からは、全国各地からの参拝者が神楽殿内へ参集しての〝お籠もり〟が始まり、福縁のお願い事をお取り次ぎする夜神楽祈祷が次々と奉仕されました。こうして旧正月の年明けが近づくにつれ神楽殿内は参列者で埋め尽くされ、祭典が始まる頃には900名の及ぶ人々で殿内は埋め尽くされました。
 そして午前1時、管長の斎主により福神祭が始まり、祭員参列者一同にて謝恩詞が奉唱され、管長による厳かな祝詞奏上にて旧正月元旦を迎え清新なる蘇りのもとで人々の一層の福縁が祈られました。
 そして、祭典が終わるや否な、参列者たちが神楽殿内に張り巡らされた注連縄の紙垂を競って取り合う恒例の紙垂取りが行なわれ、紙垂は瞬く間に取り納められました。この紙垂は竹の先に付けて田畑に立てると五穀豊穣が、また神棚におまつりすると家内安全・除災招福など、諸々の「福縁」の御蔭を授かるというのが古くからの信仰です。

~福授け抽籤~
 福神祭の後には、抽籤によって大国主大神様の純金福神御像をはじめ、純銀御像、銅御像、大御木像、福俵などが授与される恒例の「福授け抽籤」が行なわれました。
 当籤番号が次々と発表されるたび、神楽殿内は大きな歓喜と深い嘆息とが入り混り、当籤された方々には参列者より喜びを分かち合う拍手が捧げられ、いつもながらの悲喜交々とした福授け風景となりました。

~福神祭の由緒~
 日本人は古くより、十干と十二支からなる六十通りの組み合わせによって年や月日を数え、暦としてきました。中でも「甲子」はそのはじまりであり、殊に「子=ネズミ」はお若い頃に試練を受けられた大国 主大神様をお助けするなど、ご縁深い動物です。こうしたことから出雲大社では、この万物のはじまりに清新な〝蘇り〟を祈る甲子の信仰が古くより続いています。江戸時代には全国各地へ赴いた出雲大 社の御師(おし)のお道ひろめによって「甲子講」と呼ばれる信仰集団が結ばれ、現在でも甲子の日には御本殿にて「甲子祭」がお仕えされています。
 このような歴史の中、明治45年の「壬子」の年、旧暦元旦が奇しくも「甲子」の日となり、そのはじまりとなる〝子の刻(午前1時)〟に「甲子臨時大祭」としてお仕えされたのが福神祭のはじまりです。
 以降、年毎の旧正月元旦にお仕えされてきた福神祭は、今年で106年目を迎えました。
 ~ 平成30年 福 神 祭 ~
平成30年2月16日(金)旧暦元旦 午前1時
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